抜け毛が急に増えた場合の対策は？知っておくべき原因

シャンプーや枕に残る髪の量が、以前より多くなったと感じる方は少なくありません。このような変化には、ストレス、生活リズムの乱れ、季節の変化など、いくつかの要因が関係しています。

髪や頭皮の状態に気づいた段階で、日常生活を見直すことが大切です。早めに環境やケア方法を整えることで、今後の状態をより良く保つことにつながる場合もあります。

本記事では、抜け毛が増える主な原因と、自宅で始められる対策方法をご紹介します。正しい知識を身につけることで、あなたの悩み解消につながるでしょう。

急に抜け毛が増えたときの確認ポイント

髪が急に抜けるようになった。そう感じたら、まず落ち着いて現状を確認しましょう。

人の髪は1日におよそ50〜100本、自然に抜けます。これは髪全体の約0.1％であり、通常の範囲内と考えられています。また、季節の変わり目や生活リズムの変化などによって、1日あたり200本前後抜けることもあります。

抜け毛の増加が一時的なものか、長期的な傾向なのかを見極めることが大切です。
本数の多さだけで判断せず、毛根の状態や髪質の変化など、複数の要素を確認することで全体の状況を把握しやすくなります。

ここでは、髪の健康状態をチェックする際のポイントを紹介します。

正常と異常を見分ける3つのチェック項目

自分の抜け毛が正常か異常かを見分けるには、3つの観点からチェックします。

1日の抜け毛本数

毎日100本前後の抜け毛は自然な現象とされています。ただし、排水溝が頻繁に詰まるほど抜ける、枕に明らかに多くの髪が付くなど、急な変化が続くときは注意が必要です。

一時的に抜け毛が増えることもあるので、数日〜数週間の経過で観察してみるとよいでしょう。

抜け毛の太さと長さ

細く短い毛が多く抜ける場合、髪が成長しきる前に抜けている可能性があります。正常な抜け毛は太くて長く、ハリがあるのが特徴です。

産毛のような細い毛ばかり抜ける場合は、ヘアサイクルに乱れが生じているサインといえるでしょう。

毛根の形状

毛根が白く丸くふくらんでいれば正常な抜け毛です。毛根部分に半透明のゼリー状の膜(毛根鞘)が付いているのも正常な状態とされています。

一方、毛根が黒い、形がいびつ、毛根がないといった場合は異常です。白い塊が付着している場合は、皮脂の過剰分泌による頭皮環境の悪化が考えられます。

抜け毛が増える主な原因

抜け毛が増える原因は多岐にわたります。

生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化、頭皮環境の悪化、ストレス、加齢など、これらが複合的に作用して抜け毛を引き起こすことが多いのです。

自分の抜け毛の原因を特定する方法

抜け毛の原因を特定するには、日常生活を振り返ることが第一歩です。

これらに該当する場合、生活習慣の改善が抜け毛対策の鍵となるかもしれません。

遺伝的要因の確認

家族に髪のボリューム変化を感じている方がいる場合、遺伝的な体質が関係していることもあるといわれます。

特に男性型脱毛症（AGA）は、遺伝的要素の影響を受けやすいとされており、母方の家系からの遺伝が指摘されることもあります。

最近の体調やストレスの変化

急に抜け毛が増えた場合、直近の生活の変化を思い出してみましょう。

• 仕事や人間関係で強いストレスを感じていないか
• 体調不良や病気が続いていないか
• 急激なダイエットをしていないか
• 引っ越しや転職など、生活環境が変わっていないか

これらの変化は、一時的に髪の状態へ影響を与えることがあるといわれています。無理のない生活を意識し、体を休める時間を確保することも大切です。

ヘアケアや施術の履歴

頻繁なパーマやカラーリング、縮毛矯正などの施術は、髪や頭皮への刺激になることがあります。

また、いつも同じ場所で分け目を作る、強く髪を結ぶなどの習慣も、特定の部分に負担をかけます。

最近のヘアケア方法を見直し、頭皮や髪にやさしいスタイルを心がけることが、コンディションを整える一つの方法です。

生活習慣を見直す抜け毛対策

抜け毛が急に増えたとき、まず見直すべきなのが日々の生活習慣です。

睡眠不足やストレス、運動不足といった要因が重なると、自律神経が乱れ、頭皮の血行が悪化します。その結果、毛母細胞に十分な栄養が届かず、抜け毛の増加につながるのです。

生活習慣を整えることは、髪や頭皮を健やかに保つための基本的なアプローチです。睡眠時間を確保し、適度な運動を取り入れ、ストレスをためない工夫をすることで、髪の成長を妨げる要因を減らせます。

効果を実感するまでには個人差があるものの、継続的に取り組むことで、数ヶ月後には変化が見られる可能性があります。

質の高い睡眠を確保する方法

睡眠中は体のさまざまな修復機能が働く時間帯であり、髪の成長を支えるホルモンも分泌されます。

特に入眠後から3時間の間が成長ホルモンの分泌がもっとも多い時間帯とされており、この時間帯の睡眠の質が髪の健康を大きく左右します。

年齢に応じた適切な睡眠時間を確保しましょう。

20代から25歳までは7時間前後、40代では6時間30分程度が目安です。就寝3時間前には食事を終わらせ、就寝1～2時間前に入浴を済ませることで、体をリラックスモードに切り替えられます。

就寝前1時間はスマホやパソコンの使用を控えることも大切です。画面から発せられるブルーライトが睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させるからです。寝室は暗くし、体に合った枕を使うことで、より深い睡眠を得られます。

適度な運動で血行を促進する

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、頭皮の血行を促進する効果が期待できます。

心拍数の上昇がさほど高くない軽度の運動であれば、ストレス発散や自律神経・ホルモンバランスの調整も可能です。

1日20~30分程度の運動習慣を取り入れましょう。朝の散歩は特におすすめで、15分から20分程度でも十分な効果が期待できるとされています。

運動により全身の血流が改善されると、頭皮への毛細血管への血流増加も期待できます。

さらに運動にはストレス解消効果もあり、自律神経のバランスを整えることで正常なヘアサイクルへの移行が期待できます。ただし、寝る直前の強い運動は体が興奮して眠れなくなるため避けましょう。

ストレスを軽減する方法

ストレスが蓄積されると自律神経が乱れ、血行不良を招きます。交感神経が優位な状態が続くと末梢血管が縮小したままになり、頭皮への栄養供給が滞ってしまいます。

趣味を楽しむ時間や気分転換の時間を意識的に作りましょう。

ヨガやアロマテラピー、瞑想などはリラックス効果が期待できます。入浴時に好きな音楽を聴いたり、深呼吸を取り入れたりすることも効果的です。

ストレス解消方法を見つけなければと焦るとかえってストレスになる場合もあるため、まずはリラックスして過ごす時間を大切にすることから始めてみてください。

完璧を求めすぎず、できることから少しずつ取り組む姿勢が継続のコツです。

食事と栄養による抜け毛対策

髪の成長には、日々の食事から摂取する栄養素が欠かせません。

髪を構成するケラチンの生成には、十分なたんぱく質と亜鉛が不可欠です。ビタミン類やミネラルも髪の成長を助ける栄養素として働きます。

栄養バランスの取れた食事を長期的に続けることで、髪の健康状態を改善し、薄毛の進行を遅らせることが可能です。

食生活の改善による効果が現れるまでには通常3ヶ月から6ヶ月ほどの期間が必要とされています。髪の成長サイクルは約3ヶ月であるため、栄養素の補給が持続的に行われることで、髪質の改善が見られるようになるのです。

髪の成長を支える栄養素と食品

髪の成長は、日々体内に取り入れる食品、栄養素によって支えられています。

避けるべき食習慣と飲酒の注意点

脂質の多い食事は頭皮環境に悪影響を与える可能性があります。動物性脂肪を多く摂りすぎると皮脂が過剰に分泌され、毛穴が詰まったりフケの原因になったりするのです。

ラーメンや揚げ物など脂質の多い食事、ジャンクフードやスナック菓子の摂取は控えめにしましょう。

脂身の多い肉、バター、マーガリンなど、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む食品は炎症を引き起こしやすく、毛根に悪影響を与える可能性があります。

過度な飲酒も髪の健康にとって有害です。アルコールの分解時に髪の成長に必要な亜鉛が大量に消費されるため、抜け毛が増えるリスクが高まります。飲酒は適度にし、過度の摂取は避けることが大切です。

食事の時間帯にも注意を払い、遅い時間の食事はできるだけ避けてください。腹八分目を心がけ、食べすぎないことも頭皮環境の維持につながります。

正しいヘアケアによる抜け毛対策

髪の抜け毛が気になるときは、まず毎日のヘアケア方法を見直してみましょう。

ヘアカラー剤やパーマ液、整髪料などが頭皮に残ると、頭皮が刺激を受けたり、毛穴の汚れがたまりやすくなる場合があります。

抜け毛の原因がどのような場合でも、頭皮を清潔に保ち毛髪が育ちやすい環境を整えることが重要とされています。正しい洗髪方法を身につけ、頭皮に負担をかけない習慣を心がけることで、健康な髪の成長をサポートできるでしょう。

頭皮に優しいシャンプー方法

シャンプーの頻度は1日1回を目安にしましょう。

洗いすぎは、頭皮に必要なうるおいまで取り除いてしまい、乾燥やフケの原因となります。

洗髪前には、38℃前後のぬるま湯でしっかり予洗いをします。予洗いだけでも髪に付着したホコリや花粉、皮脂などの汚れをある程度落とせます。

シャンプーは髪につける前に手のひらでしっかり泡立て、指の腹を使って頭皮をマッサージするようにやさしく洗うことが大切です。

すすぎはシャンプーの倍の時間をかけ、洗い残しのないように気をつけましょう。すすぎ残しがあるとフケやかゆみの原因になります。

洗髪後は、濡れたまま自然乾燥させず、ドライヤーで根元からしっかり乾かすことが推奨されています。濡れた状態の頭皮は雑菌が繁殖しやすい環境になるため、早めに乾かすことがポイントです。

ヘアカラーやパーマとの付き合い方

カラーやパーマは髪が傷むのは事実ですが、必ずしも抜け毛に繋がるとはいい切れません。

しかし、パーマ液や染料は頭皮に負担をかけるのも事実であり、回数が増えていけば頭皮が受けるダメージも徐々に蓄積されていき、最終的には抜け毛に繋がることもあるとされています。

施術の間隔は、一般的には2〜3ヶ月程度あけるとよいとされますが、髪の状態やスタイルの持続期間に応じて調整しましょう。

市販のカラー剤やパーマ剤は、自宅でも使いやすいように設計されていますが、サロン用製品に比べて成分が強めな物も多く、頭皮への付着や洗い残しには十分な注意が必要です。

施術後は髪と頭皮をよく洗い、シャンプーやコンディショナーなどが頭皮に残らないようによく洗い流すことが大切とされています。

また、肌が敏感な方や頭皮にトラブルがある場合は、事前にパッチテストを行う、または美容師や専門家に相談することをおすすめします。

自宅でできる頭皮ケアの実践方法

頭皮環境を整えることは、健やかな髪を育てるための基本です。毎日の生活の中で無理なく続けられるケアを取り入れることで、頭皮のコンディションを保ちやすくなります。

頭皮マッサージや育毛剤の活用など、今日から始められる方法はたくさんあります。さらに、見落とされがちな紫外線対策も重要です。これらを組み合わせることで、頭皮環境の改善が期待できます。

無理なく続けられる習慣を見つけることが、長期的な頭皮ケアの鍵となります。

効果的な頭皮マッサージの手順

頭皮マッサージは、血流の促進に役立つとされるセルフケアのひとつです。指の腹を使って、優しく頭皮を動かすように行うのが基本です。

花王の研究によると、1〜3分間のマッサージを1日3回、6ヶ月間継続した場合、頭皮の血流に変化が見られたという報告もあります。入浴中やシャンプーの際に取り入れると習慣化しやすいでしょう。

ただし、爪を立てたり強い力で押したりすると、頭皮を傷つける可能性があります。「気持ちいい」と感じる程度の力加減を意識しながら行うことが大切です。

育毛剤の選び方と使用のポイント

育毛剤は頭皮環境を整え、髪の成長をサポートする医薬部外品です。血行促進や毛母細胞の活性化などの効果が期待されています。

選ぶ際は、自分の悩みに合った成分が配合されているかを確認しましょう。

抜け毛予防には、ビオチンやオレアノール酸が配合されたものを選びましょう。頭皮が脂性肌ならドクダミエキス、乾燥肌ならプラセンタエキスなど保湿成分を含むものがおすすめです。

効果を実感するには3～6ヶ月程度の継続使用が必要です。即効性を期待せず、根気強く使い続けることが大切です。

初めてである場合や新しいものを使用する前には医師や薬剤師に相談しましょう。特に頭皮にトラブルがある場合や他の治療を受けている場合は、専門家の意見を聞いてから使用を始めることが推奨されます。

紫外線から頭皮を守る対策

紫外線は、肌だけでなく頭皮にも刺激を与えることがあります。特に波長の長いUV-Aは、頭皮の奥まで届きやすいとされ、長時間の直射日光は乾燥や炎症の原因になることがあります。

頭皮が日焼けすると乾燥しやすくなり、抜け毛や薄毛につながることがあります。また、紫外線によって体内に活性酸素が生じ、皮脂分泌が不安定になるともいわれているのです。

外出時間が長い日は、UVカット加工された通気性の良い帽子を選ぶとよいでしょう。汗をかいたら頭皮が蒸れないよう、こまめに拭き取ることも忘れないようにしましょう。

UVカット効果のあるヘアケア製品も有効とされています。スプレータイプの日焼け止めなら、髪や頭皮に手軽に使用できます。

髪の分け目や生え際は特に紫外線を浴びやすいため、重点的にケアしましょう。

外出時間を工夫するのも一つの方法です。紫外線が最も強い午前10時〜午後2時の時間帯は、屋外活動を控えるなどの工夫も有効です。

専門医に相談すべきタイミングと治療方法

自宅でのケアや生活習慣の見直しを行っても抜け毛の状態が続く場合、専門の医療機関に相談することを検討してもよい時期といえます。

放置すれば症状が進行する可能性があり、適切な治療が遅れると改善が難しくなることもあるからです。

抜け毛の原因は一人ひとり異なり、生活習慣・ホルモンバランス・皮膚の状態など、複数の要因が関係していることがあります。医療機関では、頭皮や毛髪の状態を観察したうえで、必要に応じて検査を行い、現状に合ったケアや治療方針を提案してもらえます。

早めに受診することで、自分の状態を客観的に把握でき、今後のケアの方向性を立てやすくなるでしょう。

受診を検討すべきサイン

次のような状態が2ヶ月以上続く場合は、一度専門医に相談してみるとよいでしょう。

• 抜け毛の量が以前より明らかに増えている
• 抜けた毛の毛根が細く、膨らみがない
• 頭皮にかゆみ・赤み・炎症などが見られる
• フケが増えたり、頭皮がベタつきやすくなった
• 生活習慣やヘアケアを見直しても変化がない

健康な人でも1日に50〜100本程度は自然に髪が抜けるとされますが、それを大きく超える状態が続く場合や、頭皮のトラブルを伴う場合には、皮膚科などの医療機関で相談すると安心です。

症状の自己判断は難しいことも多く、原因を特定するには専門的な視点が必要とされます。気になる症状が続くときは、早めに相談してみるとよいでしょう。

皮膚科とAGAクリニックの使い分け

薄毛や抜け毛に関する診察を受ける際には、「皮膚科」と「AGA専門クリニック」のいずれを受診するか迷うことがあるかもしれません。それぞれの特徴を理解しておくと、自分に合った選択がしやすくなります。

また、近年ではオンライン診療を導入しているクリニックも増えており、自宅にいながら相談できる体制が整いつつあります。

医師の診察を経て処方された薬が郵送で届く場合もあり、プライバシーを重視したい人や通院が難しい方にとって利用しやすい選択肢のひとつです。