枕の抜け毛の本数は何本が正常?20本超えは大丈夫?
朝起きて枕に付いた抜け毛を見つけると、不安になる方は多いでしょう。
髪の毛が何本までなら正常なのか、20本を超えた場合は薄毛が進行しているのか、判断に迷うものです。 実際には、枕に付く本数には個人差があり、一概に異常とは言えません。
本記事では、正常とされる抜け毛の目安と、注意すべきサインについて解説します。
適切な基準を知ることで、不必要な心配から解放されてください。 また、早めの対策が必要なケースや、日頃からチェックすべきポイントも分かります。
監修者

ヴィタリス製薬株式会社
代表取締役 浦部 一大朗
大手医療用医薬品製薬メーカーに4年在籍。高血圧治療薬や糖尿病治療薬といった生活習慣病薬から抗がん剤まで幅広い医薬品の情報提供に携わっておりました。現在は、家業である一般用医薬品メーカーヴィタリス製薬4代目社長として就任。
・東京薬科大学卒業。薬剤師資格保有
・大手製薬会社で医薬情報提供者(MR)として従事
・2023年7月よりヴィタリス製薬入社
・2024年10月より4代目代表取締役に就任
枕の抜け毛が注意が必要な本数
朝起きて枕を見たとき、抜け毛の量に驚いた経験はないでしょうか。
枕についた抜け毛は、頭皮の健康状態を知る手がかりになります。正常な範囲内であれば問題ありませんが、本数によっては注意が必要です。
では、どの程度の本数なら安心できるのか、気になりますよね。1日の抜け毛のうち枕に残る割合は限られており、その本数には一定の目安があるのです。
具体的な基準を知ることで、自分の抜け毛が正常かどうか判断できるようになります。
正常な抜け毛の本数は1日50〜100本程度
健康な頭皮では、1日に50〜100本程度の髪が抜けるとされています。日本人の平均的な毛髪本数は約10万本といわれており、100本が抜けたとしても全体の0.1%にすぎません。
髪の毛は「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルを繰り返しています。
【髪の毛のサイクル】
- 成長期:約2〜6年続き、髪が活発に成長する時期
- 退行期:成長が止まる時期
- 休止期:髪の成長が止まり、古い毛が抜け落ちる準備を経て自然に抜け落ちる
この仕組みがあるため、毎日一定数の髪が抜けるのは正常な現象なのです。ただし、季節によって抜け毛の本数は変動します。
特に夏から秋にかけては紫外線や頭皮環境の乱れの影響で、1日150〜200本ほど抜けることもあります。春先にも冬の乾燥や生活リズムの変化から一時的に増える場合がありますが、冬には落ち着くことが多いでしょう。
枕につく抜け毛は通常5〜10本が目安
1日に抜ける髪の毛のうち、最も多く抜けるタイミングはシャンプー時です。抜け毛全体のおよそ6〜7割がシャンプーの際に抜け落ちるとされています。
ブラッシングやドライヤーを使用する際にも抜け毛が生じやすいため、就寝中に枕に付着する髪の毛は相対的に少なくなります。
ただし、就寝前に洗髪する習慣があるかどうかで状況は変わります。朝にシャンプーする習慣の方は、夜まで抜け毛をまとめて洗い流すタイミングがないため、枕に付着する抜け毛がやや多くなる傾向があります。
アンファー株式会社の調査では、起床時に枕に残った抜け毛で不安を感じるボーダーラインは13.7本を超える場合とされています。
20本以上が継続する場合に考えられること
枕に付着する抜け毛が20本以上ある状態が継続している場合、注意が必要です。
シャンプー時に抜け毛の6〜7割が抜けることを考えると、枕に20〜30本前後の髪の毛が付着している方は、1日の総抜け毛本数が正常範囲を超えている可能性があります。
特に男性の場合、AGA(男性型脱毛症)の進行が疑われます。
AGAは思春期以降に発症し、徐々に進行する脱毛症です。日本人男性の発症率は年齢とともに高くなり、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降で40数%と増加していく傾向にあります。
参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版|日本皮膚科学会ガイドライン
AGAを発症すると、髪の成長期が通常の2〜6年から数ヶ月〜1年程度に短縮されてしまいます。
その結果、髪が太く長く育つ前に抜け落ち、細く短い毛が増えていくのです。抜け毛の本数だけでなく、抜けた髪が細くなっていないか、毛根の形状に異常がないかもチェックすることが大切でしょう。
また、AGA以外にも円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、甲状腺機能の異常など、さまざまな原因で抜け毛が増えることがあります。
枕の抜け毛が20本以上の状態が続き、以前と比べて明らかに増えていると感じる場合は、専門の医療機関を受診することをおすすめします。
参照元:慶応義塾大学病院|脱毛症
本数以上に重要な抜け毛の状態セルフチェック
枕についた抜け毛を数えて不安になっていませんか?実は本数だけでは正常か異常かを判断できません。
抜け毛の健康状態を見極めるには、毛根の形や髪の太さといった「質」をチェックすることが大切です。1日に50~100本程度の抜け毛は自然な範囲とされていますが、本数よりも注目すべきなのは抜け毛そのものの状態といえます。
毛根が健康であれば、抜け毛が多少増えても新しい髪が正常に生えてきます。一方で本数が少なくても、毛根に異常があれば薄毛のリスクは高まるのです。
これから紹介するセルフチェック法を使えば、自宅で簡単に抜け毛の状態を確認できます。
正常な抜け毛と注意したい抜け毛の違い
正常な抜け毛は太くてしっかりした髪質で、ある程度の長さがあります。毛根部分はマッチ棒のように丸みを帯びて膨らんでいるのが特徴です。
正常なヘアサイクルを終えた抜け毛は、成長期・退行期・休止期という3つの段階を経て自然に抜け落ちます。そのため髪全体に十分な栄養が届いており、健康的な見た目をしているといえます。
また毛根全体が黒いままの抜け毛は、髪が十分に成長する前に抜け落ちた可能性があります。これは血行不良により毛根に栄養が届かず、色素細胞に異常が生じているサインかもしれません。
抜け毛の太さにバラツキがある場合も、ヘアサイクルが乱れている証拠となります。
健康な状態なら抜け毛の太さは概ね同じになるはずです。もし極端な太さの違いがある抜け毛が目立つなら、専門医への相談を検討しましょう。
毛根の形状と太さから分かる頭皮の健康度
毛根の観察は頭皮環境を知る重要な手がかりになります。健康な毛根は白っぽい色で、ふっくらと丸みを帯びた膨らみがあるのが特徴です。
この白い部分は毛根鞘(もうこんしょう)と呼ばれる組織で、髪と頭皮をつなぎとめる役割を果たしています。半透明のゼリー状に見えることもありますが、これは正常な抜け毛の証拠なので心配いりません。
【注意したい毛根の形状】
- 毛根が小さく委縮している場合
栄養不足や血行不良が疑われます。髪の成長期が通常より短くなり、十分に育たないまま抜け落ちている状態です。 - 毛根の先端が細く尖っている場合
過度なストレスやホルモンバランスの異常を示唆しています。これは円形脱毛症でよく見られる特徴でもあるため、このような抜け毛が増えたら早めに医療機関を受診しましょう。 - 毛根がギザギザしている場合・棒のように真っ直ぐで膨らみがない場合
注意が必要です。これは毛乳頭への栄養供給が不足しており、髪が弱っている可能性を示しています。 - 毛根に黄色みがかった白い塊がべったり付着している場合
皮脂の過剰分泌やシャンプーの洗い残しが原因と考えられます。さらに、ストレスによって頭皮の血行が悪化し、毛根の栄養不足や皮脂バランスの乱れを招くこともあります。
季節的な抜け毛の増加と判断のポイント
季節の変わり目には抜け毛が増えやすくなります。特に秋は1日の抜け毛が200~300本に達することもあるため、驚く方も多いでしょう。
【季節ごとの抜け毛の違い】
- 春の抜け毛
抜け毛が増えやすい季節です。新生活のストレスや花粉によるアレルギー反応が頭皮に影響し、抜け毛を促進することがあります。 - 夏の抜け毛
強い日差しで頭皮がダメージを受け蓄積していきます。それが数ヶ月遅れて秋に抜け毛として現れます。 - 秋の抜け毛
夏のダメージが抜け毛として現れる季節です。また、日中と朝晩の寒暖差が激しく、自律神経が乱れやすい時期でもあります。 - 冬の抜け毛
冬から春にかけての寒暖差も、自律神経を乱して頭皮の血行を悪化させる要因となります。
季節性の抜け毛かどうかを判断する重要なポイントは、継続期間です。季節的な抜け毛は通常2~3ヶ月程度で自然に落ち着きます。
しかし数ヶ月経っても抜け毛が減らない場合や、特定の部位だけが薄くなってきた場合は注意が必要です。これはAGA(男性型脱毛症)などの進行性の脱毛症である可能性があります。
季節性の抜け毛は全体的に薄くなる傾向があるのに対し、AGAは前頭部や頭頂部といった特定部位から進行するという違いがあります。
抜け毛の状態を数週間観察し、改善が見られるか確認しましょう。不安な場合は自己判断せず、早めに専門医の診断を受けることをおすすめします。
枕の抜け毛が増える主な原因
枕についた抜け毛が気になっていませんか。
実は枕の抜け毛には、シャンプーのタイミングや寝具の衛生状態、睡眠の質など、さまざまな要因が関係しています。
日常生活のちょっとした習慣が、知らず知らずのうちに頭皮環境を悪化させている可能性があるのです。枕の抜け毛を減らすには、まず原因を正しく理解することが大切でしょう。
これから紹介する3つの主な原因を知ることで、効果的な対策が見えてきます。
シャンプーのタイミングと抜け毛の関係
シャンプーを朝にするか夜にするかで、枕の抜け毛量は大きく変わります。
夜にシャンプーをせずに寝てしまうと、1日の皮脂や汚れが毛穴に詰まったまま就寝することになるためです。
また皮脂の過剰分泌により頭皮の常在菌や雑菌が異常繁殖し、かゆみや脂漏性皮膚炎の原因となる可能性もあるでしょう。
一方で朝のシャンプーにもデメリットがあります。朝は時間が限られているため、洗い残しやすすぎ残しが生じやすくなるのです。
シャンプー後は頭皮を守る皮脂が洗い流され、バリア機能が一時的に低下します。この無防備な状態で外出すると、紫外線や外気による刺激を直接受けやすくなります。
頭皮のバリア機能が回復するまでには数時間必要です。夜にシャンプーすれば、寝ている間にほどよく皮脂が分泌され、朝までにバリアが完成します。
このバリアが日中の紫外線や乾燥から頭皮を守ってくれるため、抜け毛対策には夜のシャンプーが効果的といえるでしょう。
枕カバーの汚れが頭皮環境に与える影響
枕カバーには寝汗や皮脂、フケ、アカなど、体から出るさまざまな汚れが付着しています。うつ伏せや横向きで寝る方は唾液が染み込むこともあるでしょう。
これらのタンパク質由来の汚れと湿気は、ダニや雑菌の栄養源となります。洗わずに放置すると、雑菌が少しずつ増え、衛生環境が悪化するおそれがあります。
汚れた枕カバーで寝ると、肌が汚れるだけでなく毛穴が詰まってニキビなどの肌トラブルにつながります。頭皮が不衛生な状態になるとかゆみを引き起こし、それが眠りを浅くする原因にもなるでしょう。
ヘアケア用のクリームやオイルも枕を汚す原因となるため、注意が必要です。枕やシーツは就寝中にかいた汗を吸収し、使用期間が長ければ長いほど皮脂やフケなどの汚れが蓄積されていきます。
枕カバーは週に1~2回の頻度で洗濯することが推奨されます。毎日使う寝具だからこそ、清潔な状態を保つことが頭皮環境の改善につながるのです。
髪を乾かさずに寝ることも枕が湿ったままとなり、雑菌の繁殖とカビの発生原因となるため避けましょう。
睡眠不足やストレスによるホルモンバランスの変化
睡眠不足は髪の成長に必要な成長ホルモンの分泌量を減少させます。成長ホルモンは体内で新しい細胞を生成するために必要なホルモンで、髪の毛の成長にも欠かせません。
睡眠不足が続くと、頭皮細胞の新陳代謝が滞り、薄毛や抜け毛のリスクが高まる可能性があります。
髪の成長を促す成長ホルモンは、入眠後1〜3時間の深い眠り(ノンレム睡眠)の間に多く分泌されるといわれています。
また、睡眠不足はストレスを和らげる副交感神経の働きを弱め、自律神経のバランスを崩します。その結果、交感神経が優位になり、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されやすくなります。
過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、交感神経が優位になります。すると血管が収縮して血行不良が生じ、髪を作るための栄養が毛根に届きにくくなるでしょう。
睡眠不足やストレスが続くと、髪をつくり出す毛母細胞の働きが低下し、細胞分裂の回数も減ってしまいます。毛母細胞は分裂を繰り返すことで髪を成長させているため、この状態が続くと髪の成長が滞り、抜け毛や薄毛の原因につながるおそれがあります。
質の良い睡眠を確保するには、就寝前のスマホやパソコンの使用を控えることが重要です。ブルーライトは視神経を通して脳を刺激し、睡眠の質を向上させるメラトニンの分泌を妨げてしまいます。
規則正しい生活リズムを保ち、毎日同じ時間に寝起きすることで体内時計が安定し、深い睡眠が得られるでしょう。
参照元:寝ても疲れが取れないなら要チェック!あなたの睡眠の質 大丈夫ですか?|厚生労働省
枕の抜け毛を減らすために取り組みたいこと
枕に残る抜け毛の本数が気になっているなら、頭皮環境を改善する取り組みが必要になります。
抜け毛を減らすためには、日々のヘアケアや生活習慣を見直すことから始めましょう。
正しいシャンプー方法やドライヤーの使い方は、頭皮への負担を軽減します。また、寝具を清潔に保つことで雑菌の繁殖を防ぎ、健やかな頭皮環境につながるのです。
さらに、髪の成長に必要な栄養素を食事から摂取することで、内側からのケアも可能になります。
これらの取り組みは、すぐに始められるものばかり。毎日の習慣を少しずつ変えていくことで、枕の抜け毛を減らす効果が期待できるでしょう。
頭皮に優しい洗髪方法とドライヤーの使い方
洗髪時の抜け毛は、1日の抜け毛全体の6〜7割を占めるとされています。
ただし、シャンプーで抜ける毛の多くは休止期を迎えた自然な抜け毛であり、シャンプーを控えても近いうちに抜け落ちるものです。
まず予洗いとしてお湯だけで髪を洗い流し、その後シャンプーを手のひらで泡立ててから髪全体になじませましょう。原液を直接頭皮につけると、濃い界面活性剤によって頭皮の乾燥や洗い残しの原因になるため避けます。
指の腹を使って頭皮を軽くマッサージするように洗い、毛髪同士を擦り合わせないよう注意が必要です。
シャンプー剤の選び方も重要なポイント。抜け毛が気になる場合は、アミノ酸系やベタイン系などの優しい洗浄成分を配合したシャンプーがおすすめです。これらは適度な洗浄力で、頭皮を守るために必要な皮脂を残しつつ余分な汚れを落とせます。
ただし、アミノ酸系やベタイン系シャンプーは洗浄力が穏やかな分、スタイリング剤や皮脂の多い方には洗い残しが出やすいというデメリットもあります。
ドライヤーの使い方にも注意しましょう。濡れた髪はキューティクルが開いており、ダメージを受けやすい状態。ドライヤーをかけずに自然乾燥させると、髪の成分が流出したりキューティクルが傷ついたりして、髪質の悪化につながります。
ドライヤーを使う際は、頭皮から10〜20センチ程度離して当てるのがポイント。
近づけすぎると熱で髪や頭皮にダメージを与えてしまいます。また、同じ場所に長時間当て続けず、常にドライヤーを動かしながら使用しましょう。温度設定は低めに設定し、8割程度乾いたら冷風に切り替えて仕上げると、髪のキューティクルを引き締められます。
寝具の清潔を保つための習慣
枕カバーには寝汗や皮脂、フケなど様々な汚れが付着します。
枕カバーの洗濯頻度は週1〜2回が理想とされています。
寝ている間にコップ約1杯分の汗をかくといわれており、季節によって洗う頻度を調整することも大切です。夏場は汗をかきやすいため週2〜3回程度、冬場でも最低週1回は洗うようにしましょう。
毎日洗濯するのが難しい場合は、枕カバーの上に清潔なタオルを敷いて毎日取り替える方法もあります。
シーツの洗濯頻度についても見直してみましょう。布団やベッドシーツは週に1回程度洗うのが望ましいとされています。
人は寝ている間に汗をかくため、1回寝るだけでもシーツに汚れが付着してしまいます。洗濯を頻繁に行うのが難しい場合は、替えのカバーを何枚か用意しておくと便利です。
枕カバーを洗濯する際は、洗濯ネットに入れて摩擦や絡まりを防ぎましょう。洗濯機の設定は「手洗いコース」や「弱水流」を選ぶと、デリケートな素材でも傷みにくくなります。すすぎ残しを防ぐために「念入りすすぎ」の設定も活用すると安心です。
枕カバーには顔の皮脂やフケが付着するため、シーツよりもさらに雑菌が繁殖しやすい環境。清潔な寝具を保つことは、頭皮環境を健やかに保つために欠かせない習慣なのです。
髪の成長を支える栄養素と食生活のポイント
髪の成長には、バランスの取れた食事が欠かせません。髪の毛の約85%はケラチンというタンパク質で構成されており、そのケラチンを作るためには約18種類のアミノ酸が必要です。
日々の食事から髪に必要な栄養素をしっかり摂取することで、健康な髪を育てることができます。
【タンパク質】
肉や魚、卵、乳製品、大豆製品など
髪の毛の主要な材料となる栄養素。タンパク質が不足すると、丈夫な髪の毛が作れなくなり、切れ毛や枝毛の原因になるため、毎日の食事で意識して摂取しましょう。
【亜鉛】
牡蠣や牛肩ロース、豚レバー、卵黄、アーモンドなど
髪の成長に重要な栄養素です。亜鉛はケラチンを作る際に欠かせないミネラルで、タンパク質の合成をサポートする働きがあります。
亜鉛が不足すると毛髪の成長が悪くなったり、抜け毛が増えたりする可能性があるため注意が必要です。
【ビタミン類】
赤身肉や鶏肉、マグロ、カツオ、バナナなど
頭皮環境を整えるために必要な栄養素です。中でもビタミンB2は、髪の健康な成長をサポートする働きがあります。ビタミンB6には亜鉛の働きをサポートしてケラチンの合成を促す作用もあるため、タンパク質を摂取する際はあわせて摂ることをおすすめします。
【鉄分】
赤身肉や魚介類、小松菜、ほうれん草、豆類、ひじきなど
血液中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。鉄が不足すると体が酸欠状態になり、毛乳頭まで十分な酸素や栄養が行き渡らなくなるため、髪の毛が細くなったり抜け毛が増加したりする原因になります。
タンパク質と亜鉛を意識した食材選び
髪の健康を保つには、タンパク質と亜鉛を同時に摂れる食材を選ぶのが効果的です。
牛肉や牡蠣には亜鉛が多く含まれています。亜鉛は髪の毛の主成分であるケラチンを合成する際に必須の栄養素。タンパク質をきちんと摂っていても、亜鉛が足りないと丈夫な髪の毛は生えてこなくなるため注意しましょう。
大豆製品も良質なタンパク質源となる優秀な食材。豆腐や納豆、豆乳などには植物性タンパク質が豊富に含まれ、さらに亜鉛や鉄なども摂取できます。動物性タンパク質よりもヘルシーで、頭皮環境を荒れさせる心配が少ないのもメリットです。
魚類も髪に良い栄養素を効率よく摂取できる食材。イワシやサンマなどの青魚には、血行促進や新陳代謝の活性化に役立つオメガ3脂肪酸が多く含まれます。タンパク質の補給源としても良質で、髪の成長につながるビタミンB12も豊富です。
チーズには髪に必要なタンパク質、ビタミンA、ビタミンB2といった栄養素が豊富。毎日継続して食べるのがおすすめですが、脂質も多く含まれるため、食べる量には気を付けましょう。
レバーも髪に良い食材のひとつ。鉄分とタンパク質のほか、ビタミンAや亜鉛も豊富に含んでいます。ただし、ビタミンAは過剰症もみられるため、食べるのは週1回程度にとどめることをおすすめします。
改善が見られない場合の相談先と判断基準
セルフケアで抜け毛対策を続けても改善が見られない場合は、医療機関への相談を検討しましょう。抜け毛には様々な原因があり、中には医療機関での治療が必要なケースもあります。
適切な診断と治療を受けることで、早ければ3〜6ヶ月ほどで症状が改善されることもあるのです。
抜け毛の状態によっては、早期の治療開始が重要になるため、気になる症状があれば早めに受診することをおすすめします。
脱毛症の種類と特徴的な症状
脱毛症には複数の種類があり、それぞれ症状や原因が異なります。自分の症状がどのタイプに該当するかを把握することで、適切な対処法を選ぶことができるでしょう。
【円形脱毛症】
10円から500円硬貨程度の面積の毛髪が抜け落ちる脱毛症です。
円形脱毛症の主な原因は、免疫機能の異常による自己免疫反応と考えられており、男女問わず年齢に関係なく発症する可能性があります。
円形脱毛症は、前兆なく髪の毛が一気に抜け、自分では気づかないケースも多くあります。
参照元:ひふの病気|一般社団法人日本臨床皮膚科医会
参照元:円形脱毛症診療ガイドライン2024|日本皮膚科学会ガイドライン
AGA(男性型脱毛症)
AGA(男性型脱毛症)は、日本の成人男性の3人に1人が発症する脱毛症です。
初期症状では「以前より髪が薄くなったかもしれない」程度の認識で済ませてしまうことも。AGAは進行すると脱毛範囲が広がるため、症状に疑いを持った時点で早めに相談することが大切です。
FAGA(女性男性型脱毛症)
女性が罹患する男性型脱毛症を指します。
男性のように額や頭頂部分から薄くなる女性も増えており、FAGAは進行性の疾患であるため、放置していると症状が悪化していきます。
医療機関を受診する目安とタイミング
抜け毛で医療機関を受診するかどうか迷ったら、まず抜け毛の量を確認しましょう。健康な人でも1日に50〜100本程度の髪の毛が抜けるといわれています。
【抜け毛の本数をチェックする方法】
浴室の排水溝に髪の毛をからめとるネットをつけ、日々の抜け毛の量を確認するのがおすすめ。1日の抜け毛の多くはシャンプーのときに抜けるといわれているため、大まかな抜け毛の本数を把握できます。
抜け毛の毛根の状態にも注目しましょう。毛根が黒かったり、そもそも毛根部分が膨らんでおらず尖っていたりするときは異常脱毛が疑われます。
また、成長途中の髪が抜けている可能性があり、ヘアサイクルの乱れが考えられる場合も、受診を検討する必要があります。
フケが大量に出ている、頭皮が赤くなっている、湿疹があるなどの症状がある場合は、頭皮トラブルが起きている可能性があるため、早めに医師に相談しましょう。
円形脱毛症が疑われる場合は?
以下のような症状に気づいたら早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
- 前兆なく髪の毛が一気に抜ける
- 痛みなどがなく気づかないうちに脱毛してしまう
- 脱毛範囲が円形や楕円形で境目がはっきりしている
- 爪の表面に点状のへこみがあるなど
AGAやFAGAが疑われる場合は、専門のクリニックへの受診も選択肢のひとつ。AGA専門クリニックでは、検査をもとに患者一人ひとりに合った治療法を考えてくれます。数多くの症例を扱っているため、経験が豊富で安心して相談できるのもメリットです。
一般の病院では治療の種類が限られている場合もあるため、より自分に合った治療を受けたい場合は、専門的なクリニックを受診することをおすすめします。