Feature

フィーチャー

育毛剤の効果は本当にある?使っても変化なしの理由と対策

育毛剤の効果は本当にある?使っても変化なしの理由と対策
2025.11.30
 

育毛剤を使い始めたものの、期待した効果を実感できずに悩んでいる方は少なくありません。

実は、育毛剤の効果が出にくい背景には明確な理由があり、使用方法の誤り、頭皮環境の問題、製品選びのミスなど、さまざまな要因が関係しているのです。

本記事では、育毛剤を使っても変化を感じられない原因を具体的に解説します。加えて、効果を引き出すための実践的な対策方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

監修者

浦部 一大朗

ヴィタリス製薬株式会社
代表取締役 浦部 一大朗

大手医療用医薬品製薬メーカーに4年在籍。高血圧治療薬や糖尿病治療薬といった生活習慣病薬から抗がん剤まで幅広い医薬品の情報提供に携わっておりました。現在は、家業である一般用医薬品メーカーヴィタリス製薬4代目社長として就任。

・東京薬科大学卒業。薬剤師資格保有
・大手製薬会社で医薬情報提供者(MR)として従事
・2023年7月よりヴィタリス製薬入社
・2024年10月より4代目代表取締役に就任

育毛剤に期待できる効果

育毛剤は「髪を生やす」ための製品ではなく、今ある髪を健やかに育てるサポートをする製品です。

医薬部外品として厚生労働省に承認された成分を一定の濃度で配合し、頭皮環境を整えながら抜け毛を予防する働きが期待されます。

発毛剤とは目的が異なるため、使用前に効果の範囲を正しく理解しておくことが大切です。

ここでは、育毛剤に期待できる主な働きについて解説します。

頭皮環境を整える働き

育毛剤の主な役割の一つは、頭皮の環境を健やかに保つことです。

抗炎症作用グリチルリチン酸ジカリウムなどの成分が、頭皮の炎症やかゆみを抑える
毛穴の詰まり対策サリチル酸や角質除去成分が、皮脂や古い角質の過剰蓄積による毛穴の詰まりを防ぐ
血行促進センブリエキスなどの成分が毛根への栄養供給をサポートする

頭皮が清潔で血流が良好な状態を維持することで、健康な髪の成長をサポートできる可能性があります。

今ある髪を健やかに育てるサポート

育毛剤は、すでに生えている髪を太く長く育てることを目的としています。髪の毛は毛母細胞の分裂によって成長しますが、この細胞分裂にはエネルギーと栄養が必要です。

育毛剤に含まれる「ニコチン酸アミド」や「パントテニールエチルエーテル」といった成分は、代謝機能をサポートし、頭皮の健康を保つ働きがあるとされています。

これらの成分が頭皮に浸透することで、髪のハリやコシを維持しやすい環境を整えると考えられているのです。

ただし、育毛剤は新たに毛を生やす発毛効果とは異なり、あくまで今ある髪を健康的に保つためのものです。

使用を続けることで、髪の質が改善されたと感じる方もいます。

抜け毛を減らす予防的な役割

抜け毛の増加は、ヘアサイクルの乱れや頭皮環境の悪化が原因となることがありますが、育毛剤は、こうした抜け毛を予防する働きが期待される製品です。

血行を促進する成分や頭皮の炎症を抑える成分が配合されており、毛根への栄養が届きやすい状態を整えることで、髪が抜けにくい環境づくりをサポートします。

早めにケアを始めることで、髪のボリューム低下を防ぐサポートが期待できます。

ただし、すでに進行しているAGA(男性型脱毛症)には、育毛剤だけでの改善は難しい場合があるため、予防を目的とした早めのケアが重要です。

育毛剤と発毛剤の効果の違い

育毛剤と発毛剤は、目的と配合成分が明確に異なります。

※ミノキシジルは厚生労働省から承認を受けた発毛成分で、毛包に直接働きかけて新たな髪の成長を促すとされている

育毛剤医薬部外品として、頭皮環境を整えながら抜け毛を予防することを主な目的としている
育毛剤は今ある髪を育てるための製品であり、新しい毛を生やす効果は期待できない
発毛剤医薬品に分類され、一般的な製品にはミノキシジルという成分が配合されている
薄毛が進行している方に適しているが、副作用のリスクもあるため、医師や薬剤師の指導のもとで使用することが推奨されている

自分の症状や目的に応じて、適切な製品を選ぶことが大切です。

育毛剤の効果が現れるまでの期間

育毛剤の効果はすぐに現れるものではありません。

髪の成長には「ヘアサイクル」という周期が関わっており、髪が成長期に入るまでには一定の時間がかかります。

そのため、変化を感じ始めるのは早くても3か月ほど経過してからで、一般的には3か月から半年ほどの継続使用が必要とされています。

ここでは、育毛剤の効果が現れるまでの期間について詳しく解説します。

ヘアサイクルと効果実感の関係

髪の毛は「成長期」「退行期」「休止期」という3つの段階を繰り返すヘアサイクルに従って生え変わります。

成長期髪が伸びる時期
期間:男性3~5年・女性4~6年
退行期髪の成長が止まる時期
期間:数週間
休止期が抜け落ちて新しい髪が生える準備をする時期
期間:数ヶ月

育毛剤の効果が現れるのは、主に休止期から成長期に移行する段階です。

休止期にある毛根が新しい髪を生やすまでには約3ヶ月かかるため、育毛剤を使い始めてもすぐには変化を感じられません。

また、髪の毛1本1本がそれぞれ異なるサイクルで生え変わっているため、全体的な変化を実感できるまでには時間がかかります。

最低3ヶ月から半年の継続が目安

育毛剤の効果を実感するには、最低でも3ヶ月から半年の継続使用が推奨されます。

1〜2ヶ月で効果がないと判断してしまう方も多いですが、ヘアサイクルの仕組み上、短期間での変化は期待できません。

3ヶ月程度の継続で、髪のハリやコシに変化を感じる方もいますが、本格的な効果を実感するには半年以上使い続けることが望ましいとされています。

また、育毛剤の使用をやめると、頭皮環境が元の状態に戻ってしまう可能性があるため、効果を維持するためには長期的な使用が必要です。

途中で諦めず、根気強く続けることが大切です。

個人差が生まれる理由

人それぞれ、遺伝的な要因、生活習慣、ストレスの度合い、頭皮環境などが異なるため、育毛剤の効果に個人差が出ます。

【育毛剤だけでは十分な効果を得られない】

  • 遺伝的に薄毛が進行しやすい家系の方
  • AGAを発症している方は

【髪の成長を阻害する要因】

  • 栄養バランスの偏った食事
  • 睡眠不足
  • 過度なストレス

【育毛剤の成分が浸透しにくく、効果を感じにくい】

  • 頭皮の皮脂が過剰に分泌されている場合
  • 乾燥が進んでいる場合

育毛剤の効果を最大限に引き出すためには、生活習慣の改善や頭皮ケアの見直しも並行して行うことが大切です。

育毛剤を使っても効果を感じない理由

育毛剤を使用しているのに効果を感じられない場合、いくつかの原因が考えられます。

使用期間が短い、頭皮の汚れが残っている、薄毛の原因が異なる、製品の選び方が合っていない――といった点が主な要因です。

効果が出ない理由を理解し、適切な対策を取ることで、育毛剤の働きを引き出せる可能性があります。

ここでは、よくある原因について詳しく解説します。

使用期間が十分でないケース

育毛剤を使い始めて1〜2ヶ月で効果を判断してしまう方は少なくありませんが、髪のヘアサイクルの関係上、最低でも3ヶ月以上の継続が必要です。

休止期の毛根から新しい髪が生えるまでには約3ヶ月かかり、その後、髪が成長して目に見える変化となるまでにはさらに時間を要します。

育毛剤の効果は緩やかに現れるため、短期間での劇的な変化を期待するのは難しいでしょう。

また、すべての毛髪が同じタイミングでヘアサイクルを繰り返しているわけではないため、全体的な変化を実感するには半年以上かかる場合もあります。

焦らずに継続することが大切です。

頭皮の汚れが成分の浸透を妨げている

育毛剤の有効成分が毛根まで届きにくくなる原因の1つが頭皮に溜まった皮脂や汚れです。

皮脂やフケが毛穴を塞いでしまうと、成分の浸透が阻害され、育毛剤の効果が十分に発揮されない他、頭皮の過剰な皮脂は、細菌の繁殖を促し、炎症を引き起こす原因にもなります。

育毛剤を使用する際は、事前にシャンプーで頭皮を清潔にし、しっかりと汚れを落としてから塗布することが重要です。

洗髪後はタオルドライで水気を取り、適度に髪を乾かした状態で育毛剤を使用すると、成分が浸透しやすくなります。

なお、皮脂を落とそうとして洗浄力の強いシャンプーを使いすぎると、必要な皮脂まで取り除いて頭皮が乾燥し、かえって炎症やかゆみを招くことがあります。

頭皮ケアを見直すことで、育毛剤の効果を感じやすくなる可能性があります。

AGAなど原因が異なる可能性

育毛剤を使用しても効果が感じられない場合、AGA(男性型脱毛症)が原因である可能性があります。

【AGAとは】

「男性型脱毛症」の略称で、思春期以降に徐々に髪が薄くなっていく進行性脱毛症
男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、ヘアサイクルが乱れることで進行する

育毛剤は頭皮環境を整えることを目的としているため、ホルモンに関わる薄毛の根本原因には対処できません。

AGAが進行している場合、フィナステリドやデュタステリドといった医薬品による治療が有効とされています。

また、女性の場合も、ホルモンバランスの乱れや加齢による薄毛が原因である可能性があります。

育毛剤で改善が見られない場合は、専門のクリニックを受診し、原因を特定することが重要です。

自分の症状に合っていない製品選び

育毛剤には様々な成分が含まれており、すべての人に同じ効果があるとは限りません。肌質や頭皮の状態に合わない育毛剤を使用すると、かえって頭皮トラブルを引き起こす可能性があります。

例えば、敏感肌や乾燥しやすい方がアルコール濃度の高い育毛剤を使用すると、頭皮の乾燥が進んでしまうことがあります。

また、男性向けと女性向けの育毛剤では、配合成分やホルモンへの働きかけが異なるため、性別に合った製品を選ぶことも大切です。

育毛剤を選ぶ際は、自分の症状や頭皮の状態をよく観察し、成分表を確認したうえで適切な製品を選ぶようにしましょう。

育毛剤の効果を引き出す正しい使い方

育毛剤を使っているのに変化を感じられない方も多いですが、実は使い方次第で得られる効果は大きく変わります。

洗髪後の清潔な状態で、適量を守り、頭皮マッサージを取り入れつつ毎日継続することが、効果を引き出すポイントです。

洗髪後の清潔な状態で使用する

育毛剤を使うタイミングは、効果に大きく影響します。最も推奨されるのは、シャンプーで頭皮を洗った後です。

皮脂や汚れが毛穴を塞いでいる状態では、育毛剤の成分が頭皮に届きにくくなってしまうため、洗髪によって余分な皮脂や汚れを取り除くことで、成分が浸透しやすい環境が整うとされています。

ただし、洗髪後はドライヤーで髪を乾かしてから使用しましょう。髪が濡れたままだと育毛剤の成分が水分と一緒に流れてしまう可能性があります。

完全に乾かしすぎると頭皮が乾燥してしまうため、8割程度乾かした状態がちょうど良いとされています。乾燥が気になる場合は保湿ローションなどを併用すると安心です。

朝に使用する場合も、就寝中の汗や皮脂がある程度落ち着いた状態で使うと効果的です。

製品によっては1日2回の使用を推奨しているものもありますので、説明書をよく確認してください。

適量を守り頭皮に直接つける

育毛剤はたくさん使えば効果が高まるというものではないので、適切な量を守ることが大切です。

製品ごとに推奨される使用量が異なるため、まずは説明書を確認しましょう。使いすぎると頭皮がベタついたり、不衛生になりやすくなる場合があります。

【育毛剤の成分を頭皮にしっかり届けるには?】

髪をかき分けて分け目を作り、地肌が見える状態にし、髪の毛ではなく頭皮に直接つけることがポイント

  • スプレータイプ
    頭皮から5〜10cmほど離し、頭頂部・側頭部・後頭部などに分けて噴射する
  • ノズルタイプ
    容器の先を頭皮に軽く当て、1〜2cm間隔で気になる部分に塗布する

どちらのタイプも、髪の表面にかけるだけでは成分が十分に届きません。

頭皮マッサージで血行を促す

育毛剤を塗布した後は、頭皮マッサージを取り入れることで効果を高められる可能性があります。

頭皮マッサージには血行を促進する働きが期待されています。血流が改善されると、毛根に必要な酸素や栄養が届きやすくなり、髪の成長をサポートすることにつながるとされています。

【マッサージのやり方】

基本:指の腹を使って頭皮を優しく揉みほぐす※爪を立てたり、強く押しすぎたりすると頭皮を傷つける可能性があるため注意

5本の指を頭皮に当て、指先の位置を動かさずに頭皮を押した状態で、円を描くようにして揉みほぐす

マッサージ時間の目安:1日1~2回、各3~5分程度

マッサージをやりすぎると逆効果になることもありますので、心地よいと感じる程度の力加減で行いましょう。

毎日継続して使用することの大切さ

育毛剤の効果を実感するには、毎日欠かさず続けることが何より重要です。

育毛剤は短期間で劇的な変化が出るものではなく、少しずつ頭皮環境を整えていくケアのため、継続が前提となります。

効果の判断には最低3ヶ月、できれば6ヶ月ほどの継続が推奨されています。

そのため、1ヶ月ほどで変化を感じないからといって使用をやめてしまうと、期待できたはずの効果を十分に得られない可能性があります。

毎日忘れずに使えるよう、「朝のヘアセット前」、「夜の入浴後」など、生活の中で習慣化しやすいタイミングを決めておくと継続しやすくなります。

症状に応じた適切な対策の選び方

ひとえに抜け毛対策と言っても、育毛剤での対策が向いているケースもあれば、医療機関での相談が必要なケースなど、人それぞれです。

自分の状態を正しく理解し、適切な方法を選ぶことが、薄毛や抜け毛の改善につながります。

育毛剤は頭皮環境を整えて今ある髪を健やかに育てるものです。一方で、進行が著しい場合や特定の脱毛症が疑われる場合は、専門家の診断と治療が必要になることもあります。

ここでは、症状に応じた対策の選び方について解説しますので、参考にしてください。

育毛剤での対策が向いている状態

育毛剤は、予防的なケアや初期の段階で使用することが推奨されています。

【育毛剤対策がおすすめの方】

  • 最近抜け毛が気になり始めた
  • 髪のボリュームが減ってきた
  • 髪が細くなってきたといった

上記のような初期段階で使用することで、健康な髪の成長をサポートし、将来的な変化に備えやすくなります。

また、頭皮環境の乱れが原因と考えられる場合にも育毛剤は有効です。

頭皮の乾燥、皮脂の過剰分泌、フケやかゆみといったトラブルがある場合、育毛剤に含まれる保湿成分や抗炎症成分が頭皮環境を整える助けになります。

家族に薄毛の人がいて将来的な予防をしたいという場合にも、早めに育毛剤を使い始めることで、健やかな髪を維持する土台作りができるでしょう。

ただし、すでに抜け毛・薄毛がかなり進行している場合は、育毛剤だけでは十分な改善が見られにくいこともあります。

医療機関での相談を検討すべき状態

急激に抜け毛が増えた場合や、円形脱毛症のように特定の部分だけが脱毛している場合は、医療機関での診察が推奨されます。

男性型脱毛症(AGA)のように、男性ホルモンの影響が強く関係している薄毛の場合、育毛剤だけでは進行を抑えることが難しいケースがあります。

AGAは進行性の症状のため、専門医による診断と治療薬の処方が必要になることが多いです。

AGAクリニックや薄毛治療専門のクリニックでは、検査を行い薄毛の原因を詳しく調べる場合があり、その結果に基づいて、内服薬や外用薬、注入療法など、症状に合わせた治療法が提案されます。

また、円形脱毛症が疑われる場合や育毛剤を6ヶ月以上継続して使用しても全く変化が感じられない場合も、早めに医療機関へ相談がおすすめです。

薄毛の原因は複合的であることが多く、専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な対策が見つかる可能性があります。

女性の場合、出産後の抜け毛や更年期によるホルモンバランスの変化が原因であることもあります。

こうしたケースでも、医師に相談することで適切な対処法が見つかるでしょう。

生活習慣の改善と併用する方法

育毛剤の力に引き出すには、生活習慣の見直しも重要です。

改善が必要とされることの多い生活習慣についてまとめましたので、当てはまる方はこの機会に見直してみてください。

【睡眠】

睡眠中には髪の成長に関わる成長ホルモンが分泌され、特に入眠直後のノンレム睡眠時に多く分泌されるといわれています。
質の良い睡眠を6〜8時間確保できると理想です。

【食事】

食事では髪の主成分となるタンパク質を意識して摂りましょう(肉・魚・大豆製品など)。
亜鉛(牡蠣・レバー)、ビタミンE(ナッツ類・ほうれん草)といった栄養素も髪と頭皮の健康維持に役立つとされています。

【運動】

適度な運動も血流を維持する助けになります。
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動はストレス発散にもなり、自律神経を整える効果が期待されます。

【ストレス】

ストレスは自律神経やホルモンバランスに影響し、頭皮の状態が乱れる原因になることがあります。趣味の時間を確保するなど、無理のない範囲でリラックスできる方法を見つけましょう。

【喫煙】

喫煙は血管の収縮により頭皮の血流が低下する恐れがあり、過度の飲酒は栄養吸収を妨げる可能性があります。できる範囲で控えめにすると安心です。

ページの一番上へ

×