生え際が後退しているサインはコレ!簡単セルフチェックリスト
「最近おでこの印象が変わったかも」
と、生え際の変化に気づいたときは、まず現在の状態を確認してみましょう。日常的なセルフチェックを行うことが大切です。
本記事では、約3分ほどで行える簡単な自己確認の方法を紹介します。鏡が1枚あれば、自宅でも行えます。ただ、あくまで目安の確認方法であり、医学的な診断を目的とするものではありません。
早めに変化を把握することで、生活習慣の見直しや頭皮ケアの検討、必要に応じて専門機関に相談するなど、今後の方向性を考えるきっかけになります。
後退のサインを見逃さず、今の状態を可能な限り把握できるようにしましょう。
監修者

ヴィタリス製薬株式会社
代表取締役 浦部 一大朗
大手医療用医薬品製薬メーカーに4年在籍。高血圧治療薬や糖尿病治療薬といった生活習慣病薬から抗がん剤まで幅広い医薬品の情報提供に携わっておりました。現在は、家業である一般用医薬品メーカーヴィタリス製薬4代目社長として就任。
・東京薬科大学卒業。薬剤師資格保有
・大手製薬会社で医薬情報提供者(MR)として従事
・2023年7月よりヴィタリス製薬入社
・2024年10月より4代目代表取締役に就任
生え際後退の具体的なサインとは

「おでこが広くなってきた気がする…」
そう感じたとき、それが一時的な印象なのか、実際に変化が起きているのかを見分けることは簡単ではありません。
鏡を見たときやシャンプーをしているとき、または昔の写真と現在を見比べると、髪の形やボリュームに違いを感じることがあります。そうした変化を定期的に観察することで、自分の髪や頭皮の状態を把握しやすくなります。
M字型・U字型など見られる形の変化
生え際の形には個人差がありますが、見た目の変化として「両サイドが少しずつ下がるM字型」や「額全体が後方に下がるU字型」などの傾向が見られることがあります。
【M字型】
こめかみの上あたりから剃り込みを入れたように後退していきます。
【U字型】
M字型が進行したりおでこ全体の生え際が後退したりすることから始まり、放置すると、サイドと後頭部にしか髪が残らない状態まで進行することもあります。
そのため、早い段階で気づき、対処することが重要になります。
髪質の変化で気づく初期サイン
生え際の印象は位置だけでなく、髪質の変化によっても変わります。
軟毛化はAGAの典型的な症状で、具体的には下記のような変化が見られます。
- 以前より髪が細く感じる
- 生え際の毛が産毛のように柔らかくなる
- コシやハリが弱くなる
抜け毛の状態や毛根の形も重要なチェックポイントになります。
| 健康な抜け毛 | 異常な抜け毛 |
|---|---|
| 太く長い | 細く短い |
| 正常な抜け毛の毛根 | 成長不足な髪の毛根 |
|---|---|
| 白く膨らんでいる | 小さい、形がいびつ |
シャンプー後の抜け毛を観察するだけでも、髪の健康状態をある程度把握することができます。
頭皮の硬さや色から判断できること
頭皮の柔らかさや色の変化も、日々のコンディションを知る目安になります。指の腹で軽く触れてみて、動きやすさを感じるかどうかを確認してみましょう。
| 健康な状態 | 不健康な状態 |
|---|---|
| 柔らかく動く | 頭皮が硬く、前後左右に動きにくい |
血行不良のサインです。血流が滞ると、髪の成長に必要な栄養が毛根に届きません。生え際は特に血管が少ない場所のため、血行不良の影響を受けやすい部位です。
| 健康な頭皮 | 不健康な頭皮 |
|---|---|
| 青白い色 | 赤茶色やピンク色に見える |
生え際の頭皮は、顔の表情の影響を受けやすい場所。緊張状態が続くと頭皮も硬くなり、さらに血行が悪化するという悪循環に陥ります。
今すぐできる3つの簡単セルフチェックリスト

専門的な機器を使わなくても、自分の生え際の状態を確認できる方法があります。
鏡・自分の指・過去の写真の3つだけで、誰でも簡単にチェックできるので、定期的に観察しておくと髪や頭皮の変化に早めに気づき、早期の対処が可能です。
ここでは、3つのセルフチェック方法を紹介します。いずれも自宅で短時間に行える内容です。
指を使ったおでこの広さチェック
個人差はありますが、成人男性のおでこは指3本分程度とされています。中指と生え際の間に大きな隙間がある場合、後退している可能性があります。
もう一つの測り方として、眉毛を上げたときの一番上のシワから生え際までを測る方法もあります。この距離に指が2本分以上入る場合も注意が必要です。
ただし、おでこの広さには個人差があり、生まれつき広い方もいます。平均的な本数の指以上の隙間があるからといって、必ずしも薄毛とは限りません。
過去の写真と比較する確認方法
写真を使うと、自分では気づきにくい変化を客観的にチェックできます。
自然光で撮影した写真が見やすい場合が多いです。
【確認するポイント】
- 生え際のラインが以前より後ろに見えないか
- 額の両サイドが深く見えないか
- 全体の髪のボリュームや密度が変わっていないか
生え際あたりの髪が、以前より細く弱々しくなっている場合も要注意です。写真では毛量の変化だけでなく、髪の質感の変化も確認できます。
定期的に同じ条件で撮影しておくと、進行具合を把握しやすくなります。月に1回、同じ場所・同じ時間帯に撮影する習慣をつけると良いでしょう。
抜け毛の本数と状態を見るポイント
抜け毛チェックは、最も手軽にできる日常的な確認方法です。健康な人でも1日に50〜100本程度の髪は自然に抜けます。
特にシャンプー時は抜け毛が多く、平均30~60本が洗い流されます。
特に注意すべきは、先端が尖った短い毛です。これは生えてから一度もカットされていない、つまり十分に成長する前に抜けてしまった毛を意味します。
季節変化や体調の影響で、普段より多く髪が抜けることもあります。抜け毛の増加が一時的なものであれば心配はいりませんが、毎日200本以上の抜け毛が続く場合、AGAの可能性が高くなります。
枕や排水溝に残る抜け毛が、以前より明らかに増えたと感じたら、早めの対策が必要です。
生え際後退と勘違いしやすいケース
生え際が後退しているように見えても、必ずしも薄毛が進行しているとは限りません。
中には、生まれつきの特徴や一時的な体調変化、または髪質の個人差が関係して見え方が変わるケースもあります。
自分の状態を正しく理解するためには、「生え際の後退と見間違えやすいケース」を知っておくことが大切です。
生まれつきおでこが広い場合の見分け方
もともとおでこが広い方は、生え際が後退しているように見えることがあります。
過去の写真と見比べて、生え際の位置や毛量に変化がない場合は、生まれつきの特徴である可能性が高いでしょう。
おでこが広くても、髪の根元がしっかりしており、密度も均一なら、心配する必要はないかもしれません。一方、髪が細く柔らかくなっている場合や、生え際の毛が薄くなったと感じる場合には、髪や頭皮のコンディションが変化している可能性があります。
また、生え際周辺の頭皮が硬くて動きにくくなっているかも確認のポイントです。
もし変化が気になる場合は、写真や記録を残して経過を観察するのがおすすめです。変化が見られなければ、おでこの広さは個性として受け入れ、髪型の工夫で印象を整えると良いでしょう。
一時的な脱毛との違い
生え際の変化は、必ずしも慢性的なものばかりではなく、一時的な脱毛が関係していることもあります。
たとえば、生活リズムの乱れやストレス、季節の変わり目などが影響して、一時的に抜け毛が増える場合があります。特に円形脱毛症はわかりやすい特徴があるので、知っておきましょう。
【円形脱毛症】
円形脱毛症の特徴は、円形または楕円形の急な脱毛があり、抜け毛部位と髪の毛が生えている部位の境界線がはっきりしている点です。
円形脱毛症は自己免疫反応が原因で起こる脱毛症であり、ストレスとの関係も指摘されていますが、ストレスが直接的な原因というわけではありません。
軽症の場合は自然経過の中で3〜4カ月で軽快してしまうものもあります。
一方、AGAは徐々に進行し、生え際が全体的に後退していきます。
円形脱毛症に伴う抜け毛の場合、髪の毛が一本の棒のように真っすぐになっているという特徴もあります。通常の抜け毛であれば、髪の毛の根元が丸く膨らんでいるため、抜け毛の状態を確認することで判断できるでしょう。
生え際が後退する主な原因
生え際の印象が変化する背景には、生活習慣や体質的な要素が関係しているといわれています。原因を理解しておくことで、日常のケアや生活の見直しに役立てやすくなります。
ここでは、一般的に知られている主な要因について紹介します。
AGAのメカニズムと特徴
AGAは、男性ホルモンの影響で生え際や頭頂部の髪が徐々に薄くなる脱毛症です。
男性ホルモンのテストステロンが、5αリダクターゼという酵素と結びつくことでジヒドロテストステロンに変換されます。このジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞の受容体と結合し、脱毛因子を産生することでヘアサイクルが乱れ、成長期が短縮されてしまうのです。
【AGAの特徴的な脱毛パターン】
- 【M字型】額の生え際から後退する
- 【O字型】頭頂部から円形に薄くなる
- 【U字型】前頭部全体が後退する
5αリダクターゼが生え際や頭頂部に多く存在するため、これらの部位で薄毛が進行しやすくなります。遺伝的に5αリダクターゼの働きが活発な方は、AGAを発症するリスクが高まるとされています。
早期に発見して対策を始めることで、進行を遅らせたり改善したりする可能性が高まるでしょう。
20代・30代でも発症する可能性
AGAは中高年の病気と思われがちですが、20代や30代の若年層でも発症する可能性は十分にあるので注意が必要です。
また、生活習慣やストレスなど、後天的な要素も重なることで、髪のコンディションが変化することがあります。若いうちに発症した場合、将来的に広範囲の薄毛に進行する可能性があるため、早めの対策が効果的です。
できるだけ早い段階で治療を始めることで、症状が軽いうちに進行速度を大幅に遅らせることができ、治療の選択肢も広がります。
参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版(PDF)|日本皮膚科学会
生活習慣が与える影響
生活習慣の乱れは、髪の健康に大きな影響を与えます。
特に職業柄、食事の時間や睡眠の時間帯がバラバラな方は、不規則な生活習慣が身についてしまい、AGAのリスクが高まる傾向にあるのです。
規則正しい生活習慣を身につけることで、健康的でコシのある髪の毛が育つ体質になることが可能です。食生活の改善や十分な睡眠、適度な運動を心がけることが、薄毛予防の基本となります。
睡眠不足とストレスの関係
睡眠不足は薄毛の原因の一つとして知られています。
睡眠中、特に深いノンレム睡眠中に成長ホルモンが多く分泌されます。成長ホルモンは体の細胞分裂や修復を促す働きがあり、毛母細胞の分裂・増殖にも不可欠です。
さらに、睡眠不足は自律神経の乱れを引き起こします。交感神経が優位になると血管が収縮し、頭皮への血流が悪化します。
毛根に必要な酸素や栄養が届きにくくなり、薄毛の進行につながってしまうのです。また、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されると、脱毛を促進する可能性も指摘されています。
ストレスによって自律神経が乱れると、体の機能が低下し血流が悪くなることがあります。そのため毛細血管など体の隅々に血液が行き届かなくなり、毛母細胞による髪の発育に悪影響が出てしまいます。
ストレスを溜めないように、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
栄養バランスの偏りによる影響
髪の成長には、タンパク質やミネラル、ビタミンなどさまざまな栄養が必要です。
栄養を受け取った毛乳頭細胞が毛母細胞に指令を出すことで、毛母細胞が分裂して髪が作られます。栄養不足は髪の生成に支障をきたすばかりか、頭皮環境まで乱す原因となります。
【タンパク質】
髪の約85%はケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されており、タンパク質は髪のための大切な栄養素です。肉や魚、大豆類などに多く含まれていますが、脂質も多いため食べすぎには注意が必要になります。
【亜鉛】
髪の毛の主成分であるケラチンの合成に必要なミネラルです。亜鉛が不足していると、毛髪の主成分ケラチンがうまく合成されないため、新たな髪が生えづらくなってしまいます。
【ビタミンB2・B6】
代謝をサポートする役割があり、タンパク質を十分にとっていてもビタミンが不足していると髪の生成に支障をきたす恐れがあります。
外食やコンビニ食が続くと、脂質が多くビタミン・ミネラルが不足しやすくなります。食生活を見直し、野菜や魚、豆類などを取り入れることで、体の内側から健康を支えることができます。