Feature

フィーチャー

頭頂部が薄いと感じたら?原因と今すぐできる対策法

頭頂部が薄いと感じたら?原因と今すぐできる対策法
2025.11.28
 

鏡を見るたびに頭頂部の地肌が気になることが増えた、という方も多いでしょう。

薄毛は年齢や生活習慣、遺伝など複数の要因が関わっています。しかし、早めに対策を始めれば、その進行を遅らせることができる場合もあります。

この記事では、頭頂部が薄くなる原因を分かりやすく解説します。さらに、シャンプー方法や食生活の改善など、自宅でできる対策もご紹介します。

薄毛の悩みを軽減するために、ぜひ参考にしてください。

監修者

浦部 一大朗

ヴィタリス製薬株式会社
代表取締役 浦部 一大朗

大手医療用医薬品製薬メーカーに4年在籍。高血圧治療薬や糖尿病治療薬といった生活習慣病薬から抗がん剤まで幅広い医薬品の情報提供に携わっておりました。現在は、家業である一般用医薬品メーカーヴィタリス製薬4代目社長として就任。

・東京薬科大学卒業。薬剤師資格保有
・大手製薬会社で医薬情報提供者(MR)として従事
・2023年7月よりヴィタリス製薬入社
・2024年10月より4代目代表取締役に就任

頭頂部が薄いかどうか見分ける4つのポイント

頭頂部の薄毛は自分では気づきにくい部分であるため、鏡で正面から見ても確認できないことが多いです。そのため、写真で初めて気づくことが少なくありません。しかし、早期に発見できれば対策も立てやすくなります。

ここでは頭頂部の薄毛を見分けるための4つのポイントを紹介します。それぞれのチェック方法を知っておくことで、変化に早く気づき、適切な対応ができるようになるでしょう。

つむじ周辺の地肌の透け具合を確認する

つむじ周辺の地肌の透け具合は、薄毛の進行度を確認するための一つの指標です。健康な状態では、つむじの中心部分のみが地肌として見える程度です。

世間的につむじはげと判断されるのは、つむじまわりの髪の毛の量が減少し、地肌が透けて見え始めた時点とされています。

薄毛が進行すると、つむじ周辺の地肌が透けて見える範囲が徐々に広がっていきます。髪を濡らしたり、明るい照明の下で確認したりすることで、より正確に状態を把握することができます。

スマートフォンで頭頂部を撮影すると、自分では見えにくい部分も客観的にチェックできます。定期的に写真を撮って記録しておくことで、変化を把握しやすくなるでしょう。

髪の太さや密度を他の部位と比較する

頭頂部の髪の太さや密度を側頭部や後頭部と比較することで、薄毛の進行具合を確認できます。薄毛が進行すると、ヘアサイクルが乱れて成長不足になり、細い毛が増えてくるのです。

特につむじ周辺の髪の密度が他の部位と比べて明らかに減っている場合、抜け毛や発毛のバランスが崩れている可能性があります。

指先でつむじ周辺の髪を軽くつまみ、他の部分と比べて細くなっていないか確かめてみましょう。髪がまばらに見えたり、地肌が目立つ部分があれば、毛量が減っている可能性があります。

頭皮の色や状態をチェックする

頭皮の色は健康状態を示す重要なサインです。正常なつむじは頭皮の皮膚が青白い色をしているのですが、つむじはげの場合には赤色・茶色のような色になってきます。

頭皮の色は「青白→ピンク→黄色→赤色→茶色」の順に健康状態が悪いと判断できます。乾燥・日焼け・炎症・血行不良など、頭皮トラブルを起こしていることで薄毛の原因となっている可能性があります。

他にも、頭皮のべたつきや乾燥、フケの増加なども薄毛の前兆として注意が必要です。

頭皮の環境悪化は抜け毛や薄毛といったトラブルの原因になるため、健康的ではない色の場合は早めに対処しなければなりません。

過去の写真と見比べて変化を確認する

過去の写真と現在の頭頂部を見比べることで、薄毛の進行を客観的にチェックできます。髪のボリュームやつむじ周辺の様子は、日々の変化では気づきにくい一方、過去の写真と見比べることで客観的な違いを発見しやすいからです。

特に、10代の頃の写真と比較して、髪のボリュームやつむじ周辺の変化を確認してみましょう。明らかに頭頂部のボリュームが減少していたり、つむじ周辺が広がって見えたりする場合は注意が必要です。

スマートフォンで定期的に同じ角度から撮影しておくと、変化の記録として役立ちます。早期発見が薄毛対策の鍵となるため、定期的にチェックする習慣をつけておきましょう。

頭頂部が薄くなる主な原因

頭頂部の薄毛には、男性ホルモンの影響、生活習慣の乱れ、頭皮環境の悪化、そして遺伝的な要因が複雑に絡み合い、薄毛を引き起こしています。

これらの原因を正しく理解することが、適切な対策への第一歩となるでしょう。それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。

男性ホルモンによるヘアサイクルの乱れ

男性ホルモンはAGA(男性型脱毛症)の主要な原因です。男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素と結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)という強力なホルモンに変化します。

DHTは毛乳頭細胞に作用し、毛髪の成長期を短縮させ、休止期を長くします。その結果、細く短い毛しか生えなくなり、薄毛が進行してしまうのです。

通常のヘアサイクルでは2年から6年の成長期を経て、退行期に移行して自然に抜け落ち、3ヶ月から4ヶ月間の休止期を経てから新たに髪が生えてきます。

しかし、AGAを発症してしまうと退行期・休止期は通常のヘアサイクルと変わらないのですが、数ヶ月から1年程で成長期から退行期に移行してしまいます。

特に20代以降の男性に多く見られ、日本人男性の3人に1人がAGAだと言われています。AGAは治療せずに放置すると進行していきますので、早めの治療が大切です。

生活習慣の乱れが髪の成長に与える影響

睡眠不足や栄養バランスの偏った食事、運動不足、ストレスなどの生活習慣の乱れが、AGAの進行を早める要因です。特に、職業柄、食事の時間や睡眠の時間帯がバラバラな方は、不規則な生活習慣が身についてしまい、そのためAGAのリスクが高まる傾向にあります。

睡眠不足によって成長ホルモンの分泌が減れば、髪の成長を阻害し抜け毛が増える原因になり、ストレスによって自律神経が乱れると、体の機能が低下し血流が悪くなることがあります。そのため毛細血管など体の隅々に血液が行き届かなくなり、毛母細胞による髪の発育に悪影響を与えてしまうのです。

食生活の乱れは頭皮環境と栄養不足を招きます。油分の多いものを摂取すると、皮脂の量が増え頭皮の毛穴に油が詰まりやすくなり、栄養不足も毛母細胞の活動を減退させます。

髪の毛は80〜90%がタンパク質でできているため、タンパク質の摂取が十分でない場合、髪の毛・皮膚のハリがなくなってしまいます。

ストレスを溜めるのは発毛以外にもいいことはひとつもないので、薄毛に関係なく、できるだけストレスを溜めないように生活しましょう。

頭皮環境の悪化と血行不良

血行不良になると、頭皮を巡る血液量自体が減少し、薄毛の原因となります。髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素は血液とともに運ばれるため、血液量が減少するということは、髪の成長を阻害することに繋がるのです。

血行が悪くなると、頭皮に老廃物が溜まりやすくなり、老廃物が溜まった結果、さらに血流が悪くなるという悪循環になる可能性があります。

また、運動不足や姿勢の悪さ、冷えなどがその一因になることもあるため、日常生活の中で体を動かすことを意識するのがよいでしょう。

血行不良が原因で薄毛になっている場合、軽いストレッチや入浴で体を温め、リラックスすることで、全身の巡りが整いやすくなります。血流が良くなることで、髪に必要な栄養や酸素が届きやすくなったり、溜まった老廃物が排出されやすくなったりする効果が期待できます。

遺伝的な体質と5αリダクターゼの関係

遺伝的な要因は、5αリダクターゼの活性を高める要因の一つです。研究によると、5αリダクターゼの活性を左右する遺伝子の変異が確認されており、家族にAGAの症状がある場合、この酵素の活性が高い傾向が見られることが分かっています。

人によって5αリダクターゼの分泌量は異なり、多い人ほどAGAを発症しやすいのが特徴です。

5αリダクターゼの分泌量は遺伝によって受け継がれるので、両親が5αリダクターゼを多く持つ遺伝子を持っていると、子どもや孫に遺伝する確率が高くなると考えられます。

遺伝的な要因だけでAGAの発症が決まるわけではありません。生活習慣やストレス、ホルモンバランスなど、環境的な要因も複合的に関わっているのです。体質的な要素を理解したうえで、日々のケアや生活改善を意識することが、長期的な予防につながります。

今すぐ始められる頭頂部薄毛の対策

頭頂部の薄毛が気になり始めたら、まずは日常生活の中でできることから始めてみましょう。薄毛対策は専門的な治療だけでなく、生活習慣や頭皮ケアを見直すだけでも、頭皮の状態を整えやすくなります。

食事・睡眠・運動といった基本的な生活習慣の改善、頭皮に優しいケア方法、紫外線から頭皮を守る工夫など、今日から実践できる方法は多くあります。これらの対策を継続することで、健やかな髪の成長をサポートできるでしょう。

自分のライフスタイルに合わせて、できることから取り入れてみましょう。

食事バランスを整えて髪に必要な栄養を摂る

髪の健康を保つには、栄養バランスの整った食事が欠かせません。

髪の毛の約85%はケラチンというタンパク質で構成されているため、肉類や魚、大豆製品などをしっかり摂取しましょう。

また、ケラチンの合成には亜鉛が必要です。牡蠣やナッツ類、チーズなどに含まれる亜鉛を意識的に取り入れることで、髪の成長を助けられます。

ビタミンB2やビタミンB6も頭皮環境を整える働きがあるとされています。ほうれん草やブロッコリー、バナナなどから摂取できるため、バランス良く食事に取り入れましょう。

一方で、揚げ物などの高脂質・高カロリーな食事は頭皮の皮脂分泌を増やし、頭皮環境に悪影響を与える可能性があります。

また、過度な飲酒は髪に必要な栄養素を消費してしまうため、適度な量にとどめることが大切です。

質の良い睡眠と適度な運動を習慣にする

髪の成長には、睡眠中に分泌される成長ホルモンが重要な役割を果たします。成長ホルモンは入眠後から3時間の間に最も多く分泌されるため、この時間帯に深い睡眠を確保することが大切です。

質の良い睡眠を得るためには、就寝3時間前には食事を済ませ、就寝1〜2時間前に入浴を終えましょう。また、寝る前のスマートフォン使用を控えるなど、良質な睡眠につながる習慣を取り入れてみましょう。

ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、頭皮への血流を増加させる効果が期待できます。階段を使う・寝る前に軽く体を動かすなど、無理のない範囲で続けるのがおすすめです。

適度な運動は睡眠の質を向上させる効果もあり、一石二鳥です。

頭皮に優しいシャンプーとマッサージ方法

頭皮を清潔に保つことは薄毛対策の基本です。

シャンプーは髪よりも頭皮を意識して、指の腹を使って優しく洗いましょう。爪を立ててゴシゴシ洗うと頭皮を傷つけてしまうため注意してください。

シャンプーを選ぶ際は、頭皮に刺激の少ない弱酸性やアミノ酸系界面活性剤を使用した商品がおすすめです。洗い残しはフケやかゆみの原因になるため、すすぎは丁寧に行いましょう。

入浴中やシャンプー後に行う軽い頭皮マッサージは、リラックス効果に加え、血流をサポートするといわれています。

マッサージは指の腹を使って、頭皮を押す・揉む・引き上げるといった動作を組み合わせて行います。シャンプー時や入浴後、就寝前のちょっとした時間に取り入れてみましょう。力を入れすぎず、気持ち良いと感じる程度の強さで行うことがポイントです。

紫外線対策とヘアスタイルの工夫

薄毛が進行すると、頭皮が紫外線のダメージを受けやすくなります。外出時にはUVカット加工のある帽子や日傘を使って、直射日光を防ぐようにしましょう。

ただし、帽子の中が蒸れると頭皮トラブルの原因になるため、汗をかいたらこまめに拭き取ることが大切です。

ヘアスタイルの工夫で薄毛を目立たなくできます。全体的に短くカットすることで、髪が薄い部分と濃い部分の差が少なくなり、頭頂部の薄毛が分かりにくくなります。

分け目を作る場合は、3ヶ月に1回程度位置を変えることで、同じ部分に紫外線などの刺激が集中するのを避けられます。

ドライヤーで根元を立ち上げながら乾かすと、トップにボリュームが出やすくなります。スタイリング剤は地肌につかないよう、毛先を中心につけるのがコツです。

専門クリニックで相談できる選択肢

頭頂部の薄毛が気になり始めたら、まずは信頼できる医療機関に相談してみるのがおすすめです。

AGAは皮膚科や美容皮膚科でも診察を受けられますが、より専門的な対応を希望する場合はAGA専門クリニックを検討してみましょう。

専門クリニックでは、AGAに特化した診療体制が整っており、これまでの症例や経験をもとに、一人ひとりの状態に合わせた治療方針を提案してもらえるという特徴があります。

最近では、オンライン診療に対応するクリニックも増えており、自宅にいながら医師の診察を受け、治療薬を処方してもらうことも可能です。

通院の時間が取れない方や、クリニックに通っているところを見られたくない方にとって、選択肢が広がっています。

早期発見が進行を遅らせる鍵となる理由

AGAは進行性の脱毛症のため、放置すると薄毛は徐々に悪化していきます。早期に治療を開始することが推奨されるのは、髪の成長サイクルであるヘアサイクルに限りがあるためです。

毛包の細胞は一生涯に再生できる回数が決まっており、AGAを発症するとヘアサイクルが極端に短縮されてしまいます。通常は約1000〜2000日かけて1周するヘアサイクルが短くなることで、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまうのです。

ヘアサイクルの回数が多く残っている早い段階で治療を始めることで、将来的に薄毛になる可能性を低くすることができます。

反対に、ヘアサイクルが完全に終わってしまった場合、現在の医療ではどのような治療をもってしても発毛させることはできません。

日本皮膚科学会ガイドラインによると、日本人男性の約3分の1がAGAを発症するとされており、20代という若い世代でも発症する可能性があるため、抜け毛が増えたと感じたら早めに専門医に相談しましょう。

クリニックで受けられる検査と治療の流れ

AGA専門クリニックでは、まず無料カウンセリングから始まることが一般的です。問診票の記入、専門カウンセラーによる相談、治療内容や費用についての説明を受けることができます。

その後、医師による診察では、マイクロスコープを使用して頭皮や毛髪を詳しく観察し、薄毛の進行度合いを確認します。治療前の頭部を撮影し記録することで、治療後の変化を客観的に確認することもできるのです。

治療を開始する場合、血液検査を実施してAGA治療薬の使用が可能かどうかを確認します。

AGA治療薬は主に肝臓で代謝されるため、肝機能の状態を把握することが安全な治療のために欠かせません。検査結果を踏まえて、医師と相談しながら治療内容や費用を決定します。

その後は月に1回程度の通院で経過を確認しながら、症状に合わせて治療薬の種類や量を調整していくのが一般的です。治療効果を実感するまでには、早い方で3ヶ月程度、多くの方は6ヶ月から1年程度の継続が必要とされています。

ページの一番上へ

×