髪が薄くなった気がすると感じたらまず確認したい3つのポイント
「最近、髪が薄くなった気がする…」と感じた瞬間、不安になりますよね。その違和感を放置せずに確認することが、将来の髪を守る第一歩です。
髪が薄く見える要因は、年齢や生活習慣、ストレス、季節の変化、ホルモンバランスなど、人によってさまざまです。一時的な体調の変化や環境の影響によることもあり、必ずしも深刻な問題とは限りません。
この記事では、「気のせいかな?」と感じたときにまず確認すべき3つのポイントをわかりやすく解説します。
自分でできるチェック方法と、今日から始められる基本のケアを知り、健康な髪を維持するためのヒントをつかみましょう。
監修者

ヴィタリス製薬株式会社
代表取締役 浦部 一大朗
大手医療用医薬品製薬メーカーに4年在籍。高血圧治療薬や糖尿病治療薬といった生活習慣病薬から抗がん剤まで幅広い医薬品の情報提供に携わっておりました。現在は、家業である一般用医薬品メーカーヴィタリス製薬4代目社長として就任。
・東京薬科大学卒業。薬剤師資格保有
・大手製薬会社で医薬情報提供者(MR)として従事
・2023年7月よりヴィタリス製薬入社
・2024年10月より4代目代表取締役に就任
髪が薄くなった気がする原因とは?まず知っておきたい基本

髪のボリュームや密度、質感は、年齢や生活習慣、ストレス、ホルモンバランスなどの影響を受けて少しずつ変化します。
「最近、髪が減った気がする」と感じても、一時的な変化である場合もあれば、徐々に変化が進行している場合もあります。
ここでは、まず「なぜ髪が薄くなったように感じるのか」を正しく理解しておきましょう。
髪が「減った」と感じるのは気のせい?それとも本当?
髪の毛は常に生え変わりを繰り返しており、誰でも1日あたり50〜100本ほどの抜け毛があるといわれています。そのため、多少の抜け毛は生理的な現象であり、すぐに「薄毛」と結びつける必要はありません。
一方で、地肌が目立ちやすくなった、分け目が広がった、前髪が立ち上がりにくくなったといった変化が続く場合は、髪の成長サイクル(ヘアサイクル)が乱れている可能性があります。
髪の毛は「成長期 → 退行期 → 休止期」というサイクルを繰り返しています。
ストレスや栄養不足、ホルモンバランスの崩れによって成長期が短くなると、十分に太くなる前に抜けてしまうことがあります。
こうした変化を早めに把握し、生活習慣を見直すことが、髪を守る第一歩です。
年齢・ストレス・生活習慣が与える影響
年齢を重ねるにつれて、髪のハリやコシに変化を感じる人は少なくありません。これは、毛根の働きに関わる細胞の活動が緩やかになることや、ホルモンバランスの変化などが関係していると考えられています。
加齢とともに、毛根の働きを担う「毛乳頭」や「毛母細胞」の活性が低下していきます。ホルモンバランスの変化でいえば、男性の場合、40代以降に男性ホルモン(DHT)の影響で頭頂部や前頭部の髪が細くなることがあり、女性でも30代後半から女性ホルモンの減少によって髪が細くなる傾向があります。
ただ、これらは生理的な変化の一部であり、必ずしも異常とは限りません。
また、睡眠不足や喫煙、過度なダイエットは血行不良を招き、毛根に栄養が届きにくくなります。特にストレスは、自律神経を乱し、頭皮の血流を低下させる要因です。心身の疲労が蓄積すると、髪の成長に必要な酸素や栄養が不足し、細く弱い髪が増えることがあります。
季節やホルモンバランスによる一時的な変化
季節の変わり目(特に秋や春)には、抜け毛が増えると感じる人が多いようです。これは、紫外線や気温差、生活リズムの変化などが重なり、頭皮の状態が一時的に変化することによるものと考えられます。
また、女性では出産後や更年期など、ホルモンバランスの変化に伴って一時的に抜け毛が増えることもあります。
このような場合、多くは体調やホルモンのバランスが整うにつれて、自然と落ち着いていくケースもみられます。
参考URL:日本皮膚科学会「脱毛症 Q&A」
髪が薄くなった気がするときに確認すべき3つのポイント

「気のせいかも」と思いつつも不安を感じたときは、まず自分の髪の状態を客観的に確認することが大切です。
ここでは、誰でも簡単にできる3つのセルフチェック方法を紹介します。
① 分け目や頭頂部の地肌が以前より見えるかチェック
分け目や頭頂部は、髪のボリューム変化を最も早く実感しやすい部分です。
以前より地肌が見える範囲が広くなった、あるいは光の反射で頭頂部が透けて見える場合は、毛量の低下が始まっているかもしれません。
チェックのコツ
- 朝の自然光の下で鏡を見て確認する
- スマートフォンで定期的に上から撮影し、過去の写真と比較する
- 分け目の位置を変えて、ボリュームの左右差をチェックする
また、自分では気づきにくい後頭部の変化は、美容師に相談すると客観的な意見をもらえます。美容師は髪質や地肌の状態を日常的に観察しているため、変化に気づきやすい立場にあります。
② 抜け毛の量と毛の太さを観察してみる
シャンプーやブラッシングの際に抜け毛が多いと感じたときは、髪の状態を落ち着いて観察してみましょう。一時的な抜け毛であることも多く、必ずしも異常とは限りません。
ただし、抜け毛が長期間続くような場合には、皮膚科などの専門医に相談するのが安心です。
観察のポイント
- 1日の抜け毛が100本を超える状態が数週間以上続いていないか
- 抜けた毛の根元が細い、または短く途中で切れているものが多くないか
- 髪全体が以前より細く、柔らかくなっていないか
これらの特徴が見られる場合、毛根の栄養不足や頭皮環境の悪化が関係している可能性があります。
ただし、急激な抜け毛が続く場合は、円形脱毛症などの可能性もあるため、皮膚科での診察を検討しましょう。
③ 髪のハリ・コシ・ツヤが低下していないか確認
髪の質感は、頭皮や体の状態を反映します。ハリやコシがなくなると、ボリュームが減って見えるだけでなく、スタイリングも崩れやすくなります。
髪が以前より柔らかく感じる、ツヤがなくなった、まとまりにくくなったという変化が続くときは、髪内部の水分やタンパク質が不足しているサインです。
改善のポイント
- ドライヤーを使うときは、頭皮から20cmほど離し、根元から乾かす
- 洗髪時は熱すぎないぬるま湯(38℃前後)を使う
- 週1〜2回、保湿効果の高いトリートメントや頭皮用美容液を使用する
また、血行を促す頭皮マッサージも効果的です。 両手の指の腹で円を描くようにマッサージすることで、毛根に栄養が届きやすくなります。ただし、強くこすりすぎると頭皮を傷つけるおそれがあるため注意が必要です。
髪のボリュームダウンを感じたら今日からできる対策
「髪が薄くなった気がする」と感じたときは、生活習慣と日常ケアを見直すチャンスです。
ここでは、専門的な治療に頼る前に、自分でできる基本的なケアを紹介します。すぐに大きな変化が現れるわけではありませんが、丁寧に続けることが将来の髪を守ることにつながる可能性があります。
頭皮環境を整える正しいシャンプー&ケア方法
頭皮は、髪の成長を支える大切な土台です。汚れや皮脂が溜まると毛穴が詰まり、健康な髪が育ちにくくなります。とはいえ、洗いすぎると乾燥や炎症を引き起こすこともあるので、バランスの取れたケアが重要です。
正しい洗い方の手順
- シャンプー前にぬるま湯で1分以上予洗いして汚れを落とす
- アミノ酸系など低刺激シャンプーをよく泡立ててから頭皮になじませる
- 指の腹で優しく頭皮をマッサージするように洗う
- シャンプーを残さないよう、しっかりとすすぐ
- タオルドライ後はドライヤーで根元から乾かす
これらの基本を意識することで、頭皮環境が改善し、抜け毛やベタつきが減ることがあります。
また、自分の肌質に合った成分や洗浄力のシャンプーを選ぶとよいでしょう。
食事・睡眠・ストレス管理で内側からサポート
髪の健康を保つには、外側のケアだけでなく体の内側から整えることも重要です。髪をつくる主成分「ケラチン」はタンパク質の一種で、栄養が不足すると髪の成長が妨げられます。
髪の健康を支える主な栄養素の例
- タンパク質:卵、大豆、魚、鶏むね肉など
- 亜鉛:牡蠣、レバー、ナッツ類
- 鉄分:赤身肉、ひじき、ほうれん草
- ビタミンB群:豚肉、納豆、バナナなど
さらに、十分な睡眠(6〜7時間以上)を確保することで、成長ホルモンが分泌され、髪の再生を助けます。 睡眠の質を上げるためには、寝る前のスマホ使用を控え、就寝前に湯船でリラックスするのも効果的です。
ストレスを感じやすい人は、深呼吸や軽い運動などで自律神経を整える工夫をしましょう。
参考URL:農林水産省「世代・ライフスタイル別トピックス」
継続的なケアが将来の髪を守るポイント
髪や頭皮のケアは、数日で結果が出るものではありません。少なくとも3〜6か月ほど同じ方法を続けることで、自分に合ったケアの習慣が定着しやすくなります。
頭皮マッサージやバランスの取れた食生活、質の良い睡眠などを続けることで、徐々に髪のハリやコシが戻ってくるケースもあります。
もし長期間ケアを続けても変化が見られない場合や、抜け毛が急激に増える場合は、皮膚科で相談することをおすすめします。
医師の診断によって、頭皮炎症やホルモン異常などの原因を早期に特定できる場合があります。
参考URL:MSDマニュアル家庭版「脱毛症」